日々の食卓――ワインと暮らすフランス流のリズム 【ふらかつ】

日々の食卓 フランス流食卓 ワインと暮らすフランス流のリズム 【ふらかつ】 食の豆知識

フランスの家庭料理は、驚くほどシンプル

 フランス料理と聞いて、まず浮かぶのは、テーブルにずらりと並んだナイフとフォーク。
そして、「豪華」「格式高い」「マナーが難しい」イメージではないでしょうか?
世界三大料理の一つとされ、素材の良さを活かす繊細な調理法に、バターベースの濃厚なソースが魅力です。

 でも、それは高級レストランのお話。
まさか、フランス人が毎日あのような食事をしているはずがないですよね。
今日は、在仏8年の間に私が見たフランス人の食事スタイルを綴ってみたいと思います。
フランス人が家庭でふつうに作って食べているのは、そのイメージに反して庶民的な家庭料理や地方色豊かな料理など、親しみやすいものばかりです。
基本的に、メインは素材重視の「一肉一菜」。凝ったことはしません。

共働き家庭の食卓

 特に、平日の食事はいたってシンプル。
月曜から金曜までは手軽に済ませ、週末は市場に行って新鮮な食材を手に入れ、時間をかけて料理して、家族や友人とワインを飲みながらごちそうを楽しむというスタイルが一般的です。
それは、フランスは女性の就業率が80%を超えるほど高いことを知るとうなずけると思います。

フランスは労働環境が非常に整っているため、当たり前に子育てと仕事を両立させる「ワーキングママ」です。住み込みのベビーシッター兼家事手伝いが存在するくらいですから、女性が結婚や出産でキャリアを諦めるという考え方はゼロに等しいです。
家族でまとめて数週間も取る “ヴァカンス” が最も良い例ですが、そういう話を聞くたびに、社会全体で仕事とプライベートの時間を上手に明確に分けている。これこそが、女性が長く働き続ける国の特徴だと思います。

フランス人は、メリハリの達人

 ということで、フランス人は平日は調理に時間をかけたりしません。スープやキッシュの前菜、煮込みやソテーのメイン料理に付け合せ一種。その分、週末は市場に新鮮な食材を買いに行き時間をかけて料理をし、ワイングラス片手に大切な人たちと数時間かけてゆったりと食事と会話を楽しみます。 私は、フランス人のこのメリハリが楽しく生きる一番の秘訣だと思っています。私も人生の後半戦ではぜひ見倣いたいと思っています。

ここで少し脱線しますが、フランス人の食生活について、日本人の私がとても興味深く感じていたことがあります。それは、いつ何時も食事には “コース仕立て” という軸が一本通っていること。フランス人がブレない生き方はここから来ているんじゃないか?とまで思っていました。これは幼稚園や小学校でも例外ではありません。私も保護者として学校給食の試食に招かれたことがあり、実際にコース料理としていただきました。日本の給食との違いを目の当たりにして「ああ、自分は今、日本ではない場所で生きているんだな」と実感する瞬間でした。

ワインのある食卓がもたらす、暮らしのリズム

 話を元に戻すと――
質素とも言える平日の夕食にも、もちろん、ワインは欠かせません。
一日の終わりに、ワイングラスを傾けながら家族がつながり、絆を深める大切なひととき。食事が終わるころには、お腹も心もすっかり満たされている。忙しい日々の中でも、こんなワインのある食卓を家族みんなで囲むことでフランス人たちは自分を取り戻し、また明日へと向かうパワーを静かにチャージしているように私には見えました。
そんな日々のグラスの向こうに見えるのは、食を生活の真ん中に据えたフランス人たちの豊かな人生。
毎日の食事とワインと会話が3つそろって、暮らしの中にささやかな喜びを灯してくれます。

【ふらかつ】は、週末の食卓――オーブンから香りが立ちのぼる、集いの時間についても書く予定です。どうぞお楽しみに。

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