生き方の美学 — フランス人にとっての食事の時間 【ふらかつ】

フランスのリュックマノのパン【ふらかつ】 食の豆知識

ただ食べるだけではない、心を満たすひととき

 フランスには、「L’art de vivre(アール・ド・ヴィーヴル)」という美しい考え方があります。直訳すれば「生き方の美学」。日々の暮らしの中に美しさや喜びを見出し、自分らしいスタイルで人生を楽しむという、生き方そのものの美学です。

 一人ひとりが、身の丈に合った方法で、小さな幸せを見つけ、日常の瞬間に価値を与えること。
8年間のフランス暮らしの中で【ふらかつ】は、それがどこか余裕を感じさせるフランス人の「人生の楽しみ方」の根っこだと思うようになりました。
なかでも「食べること」は、フランス流の暮らしに欠かせない中心的な要素。単なる栄養摂取を超えて、文化、コミュニケーション、自己表現の場として、食事の時間が大切にされています。老若男女を問わず、「食べること」は人生の歓びであり、心を豊かにする大切な時間なのです。

食事は人生を楽しむための時間

朝食:一日のスタートを丁寧に整える

 フランスの朝食は軽やかでシンプル。バゲットにバターとジャム、そしてカフェオレ。それだけの朝も少なくありません。でもそこには、一日の始まりを心地よく整えるための、小さな工夫とゆとりが詰まっています。慌ただしい中でも、静かな時間をほんの少し持つこと。その日の自分をやさしく整える、そんな朝の過ごし方が習慣になっています。シンプルながら「心の余白」を意識する朝の習慣、それがフランスらしさです。週末には、焼き立てのクロワッサンや上質なバターを用意していつもより贅沢な気分を味わいます。

昼食:人とつながる

 ランチタイムは、単なる休憩時間ではなく、人と人とが顔を合わせる大切なコミュニケーションの場。地方では2時間かけて食事をすることも普通で、仕事よりも “食卓での会話” が優先される傾向があります。「誰と、どこで、何を食べるか」は、自分らしい生き方を形作る大事な選択。昼食のひとときが、午後への活力を与えてくれるだけでなく、日々のリズムを整える役割も果たしているのです。

夕食:一日を締めくくる

 夕食は、もっとも心をこめる食事の時間。家族とテーブルを囲み、前菜からデザート、そしてワインをゆったりと楽しむ。それはフランス人にとって、一日を慈しむように締めくくる、大切な儀式のようなもの。その日あった出来事を語り合いながら、食事を共にすることで生まれる心のつながり。その空間こそが、フランスの家庭で何より大切にされているのです。

季節を味わう、という豊かさ

 フランスでは、旬の食材を大切にします。春はアスパラやそら豆、夏にはトマトやズッキーニなどの夏野菜、秋はきのこやジビエ、冬にはカブなどの根菜、セロリ、ブロッコリー、ほうれん草など。食卓の彩りは、季節とともに移ろい、食べることで自然のサイクルを体に取り込んでいく。季節を味わうことそのものが、暮らしを楽しむ一部なのです。

食卓に宿る、美しいリズム

 【ふらかつ】が見てきたフランス人たちにとって、食事の時間は生活の中の軸。
心と身体のリズムを整える時間であり、3回の食事を通じて人生のテンポを取り戻しているようでした。
どんなに忙しくても、食事時間に立ち止まり、リセットする。日々の営みの中にこそ、美しく豊かな瞬間が宿っている——フランスの食卓の上にはそんな哲学が息づいていることを体感しました。

食卓の上にあるのは、料理、パンやワインだけではない

 フランスの食卓には、料理、パンやワインの他に、「小さな幸福のかけら」がいくつも載っています。料理の香り、視界にとびこむ彩りの良さ、グラスを鳴らす音、交わす会話など、その一つひとつが人生を彩るピースなのです。

 食べることが「生き方の美学」そのものであるフランスに倣って、私たちも忙しい日々の中でほんの少しでも 食事の時間を丁寧に過ごしてみる。今日から、そんなフランス流の 「生き方の芸術」を、あなたの暮らしにも少しずつ取り入れてみませんか?
【ふらかつ】が思う、食卓から始まる心豊かな人生のきっかけになってくれると思うのです。

おまけ:
写真の見るからに美味しそうなパンは、【ふらかつ】がフランス一のパン職人だと思う Luc Mano(リュック・マノ)さんの「Le pain des volcans(火山のパン)」。
パン屋の名前は「La boulangerie des blés d’or – Luc Mano」で 、リヨンにありました。
まだ現役で焼いていらっしゃるのかな?2026年はフランスに行って確かめてみたいものです。

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