《後編》フランスの年末年始:お正月 【ふらかつ】

フランスのお正月 ガレット・デ・ロワ フェーヴ 【ふらかつ】 冬の食卓

フランスの年越し

第1回のクリスマスに続いて、第2回はフランスの年越しについて書きます。

【ふらかつ】自身が経験した限りでは、フランスの年越しは、
日本のような厳かな「区切り」「節目」というより、一年の終わりを味わい、静かに「次の一年へ移っていく」期間という意味合いが強いです。

大晦日は、家族や親しい友人と集まり、深夜から元旦にかけて「le Réveillon(レヴェイヨン)」と呼ばれる”祝いの夜食”を楽しみながら、カウントダウンを華やかに祝う習慣があります。ごちそうを食べながら語り明かし、みんなで新しい年を迎えるのです。

本来、キリストの誕生を祝うミサ(深夜の礼拝)を待つために始まった習慣だと聞いています。
“夜通しの祝宴”という意味ではクリスマス・イブも同様に「le Réveillon(レヴェイヨン)」なのですが、こちらは 「Réveillon de Noël 」で、大晦日の「 Réveillon du Jour de l’An 」と、それぞれ区別がされています。

大切なのはイベントではなく「共有する時間」

食卓には、クリスマスに続き、乾杯にはシャンパーニュと、フォアグラやシーフードなど、ちょっと贅沢な家庭料理が並びます。
そして、特徴的なのはやっぱり何時間も続く(!)食卓の時間です。
食べて、話して、また少し食べて・・・
今年あったことを振り返りながら、新年の話もしますが日本人のように「一年の抱負」を語る雰囲気は全くありません。

未来を固めるのではなく、大切な人たちと今ここで共有している時間こそが大事。
日本人の【ふらかつ】は、年末を迎える度に「私達と価値観が全然違う」と再確認したものです。

元旦は、何もしない贅沢

1月1日、多くの店は閉まり、フランスの街はとても静かです。

食事は、夜中の宴の余韻を楽しみながら残った料理をつまむ程度で。家でゆっくり過ごす人がほとんど。新年だから頑張る、ではなく、家族とのクリスマスのヴァカンスを最後まで楽しみます。
【ふらかつ】は、この感覚こそがフランス人の人生美学を象徴していると思っています。

新年の始まりを締めくくるお菓子、Galette des Rois

いっしょに年末年始を過ごしていると、フランス人は三が日よりも新年が始まってからの日常を大切にしているんだなあ… と感じることがあります。その一つが、1月に食べる Galette des Rois(ガレット・デ・ロワ=王様のお菓子)です。

1月6日のÉpiphanie(エピファニー=公現祭)に由来する、折込パイ生地とアーモンドクリーム(クレーム・ダマンド)で作られた焼き菓子です。1月いっぱい、家族や友人同士、職場で楽しまれています。

そのホールの中には Fève(フェーヴ)と呼ばれる陶磁器製の小さな人形(または飾り)が隠されています。みんなで切り分けた時にこれが入っていた人が「王様」で、その年一年間ずっと幸運に恵まれると言われています。

当たりを引いた大の大人が、紙製の王冠をかぶってみんなから祝福されて主役を楽しむ。ただそれだけのささやかな遊びなのですが、フランスの新年のお祝いには欠かせません。この焼き菓子の中にこの一年を占う小さな遊び心が詰まっているというわけです。

フェーヴについて

Fève(フェーヴ)?
あれ、それって、野菜のそら豆のことじゃないの?
そう気付いた方はいらっしゃいませんか。

はい、そのとおりです。というのも、もともとはそら豆そのものが使われていたそうなのです。
現在は様々なモチーフの陶磁器製のものが主流で、コレクターに人気があります。


そういえば、10年以上前に「Hello Kitty」がフランスで大流行していた時期に、 Galette の中から何とキティちゃん(磁器製)が出てきた!なんてことがありました。

日本のみなさんが家で手作りするなら、アーモンド一粒を忍ばせておくのがおすすめです。

フランスの新しい年はじんわりと始まる

クリスマス・シーズン

大晦日のレヴェイヨン

新しい年の静かな幕開け

ガレット・デ・ロワを囲む1月

フランスではこの流れの中で新年が少しずつ生活に馴染んでいく。
その感じを2回に分けて書きましたが、伝わったでしょうか。

元旦に、何かを急いで始めなくてもいい。少しずつ、日常の延長として、新しい年を迎える。
ガレット・デ・ロワの一ヶ月は、そんなフランス人の時間感覚を映していますよね。

2026年、こうして新たに始まって、繰り返されるフランス人の日常。
【ふらかつ】は、その中に確かに貫かれている美学を季節の行事や食卓とともに綴っていきます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

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