♪ダダダ ダダダ ダダダダダダダ・・・
東宝製作ゴジラ映画として30作目として話題を呼んでいる『ゴジラ-1.0』。
観てきました。
実は私、ゴジラ映画を劇場で観るのは初めてでした。
劇場では初めてでも、「シン・ゴジラ」はネット配信で観たよ
そのため抵抗があったのですが、監督と主演俳優に惹かれて観に行きました。
結果、想像以上におもしろかったです。一言にゴジラ映画と片付けてしまうのはもったいないくらい。
目次
戦後の「零」日本に追い打ちをかける「負」
出典:公式サイト
戦争で何もかも失い、ようやく立ちあがろうとしている日本を突如襲ってくるのがゴジラです。
食べるのも着る物にも困り誰もが日々生きるだけで精一杯の頃、余力のある人なんて誰1人いなかった時代。
何もこんな時代に来なくても・・・と思ってしまいますが、そこが監督の狙いだったようですね。
物に不自由していた時代にどうやってゴジラという未知の怪物に立ち向かっていくのか。
迫り来るゴジラがリアル
「逃げ惑う人々と同じ目線」がこだわりのひとつだと何かで読みました。
そこ効果は絶大で、まるでそこにヤツがいるのではないか、こちらに向かってきているのではないかと錯覚するほどの臨場感。
わかっているのに思わずキョロキョロしてしまいました。
4DXやIMAXで見たわけではないんです。普通の映画館で観てこれですから、4DXやIMAXで体感したらもう恐怖に慄くのではないかと思われます。
お馴染みのあの音楽も恐怖心を掻き立てます。
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ゴジラの存在を忘れるくらい丁寧に描かれた日常
この作品は単なる怪獣映画ではありませんでした。
先に述べたようにゴジラの破壊力はそれはそれは凄まじかったのですが、それだけに捉われず、人間ドラマが色濃く描かれていました。
あの名作『三丁目の夕日』を手がけた山崎貴監督ですから、観る前からなんとなく予想はしていました。
それがゴジラが登場しない人々の日常を描いたシーンだけでも作品として成り立つのではないかと思わせるほど濃密だったのです。
「本当にこれ、ゴジラだっけ?」「もう出てこないんじゃないの?」と思ってしまうほど。
ゴジラに立ち向かうのは「民」
これまでの特撮や怪獣映画といえば、奴らに相対するのは政府や特殊機関でした。
『シン・ゴジラ』に至っては政府や各署のエリートが集まり、訳のわからない専門用語を用いながら、最新の技術や情報力を駆使して立ち向かっていました。
しかし、『ゴジラ-1.0』の舞台は戦後です。
武器もなければ技術も情報力もありません。しかも、ヤツに立ち向かうのでは普通の人々。
本当なら戦争で嫌気がさしているであろうに、「失うものはもう何もない」と自分を奮い立たせて国を守ろうとする姿が映し出されます。
元海軍の人たちを中心とした人々が得体の知れない怪物と戦おうとすることに意義を感じました。
負い目を感じる元特攻隊員
主人公である敷島浩一は特攻の命を受けつつ、逃げてしまった人です。
その負い目をずっと背負って生きていたため、他の人とも壁を作っていました。
ですが、愛する者を襲われたときに覚醒します。その覚悟を決めた眼差しは本物でした。
冒頭では弱腰で罪悪感から伏し目がちだった表情が、後半は力強くヒーロー感すら感じる強い眼差しに変わります。
自分だけ生き延びてしまった彼の中での戦争は終わっていませんでした。
ゴジラの弱点を知った彼は、”特攻”として突撃することで、自らの戦争を終わらせようとするのですが、その時の強さには泣きそうになりました。
絶望感のある表情から一点、強さを感じさせる神木隆之介の表情の変化がよかったです。
主人公を演じる神木くんはまるでその時代に生きているかのようだったなあ
その後にも感動ポイントが出てくるのですが・・・
「生」にこだわるこの作品の真髄が見られます。
出典:シネマトゥデイ
最後も不気味
昭和に製作されたのではないかと思わせるほどのVFXの完成度の高さはさすがだなと感じました。
ラストはハッピーエンドかと思わされたのですが、何やら不気味な終わり方で最後まで恐怖心を煽られます。
でも、ゴジラ初心者の私がここまで楽しめたのですからこれまで避けていた人も楽しめるのではないでしょうか。
予想を遥かに超える満足感にIMAXか4DXでもう一度見直してこようかなあと考えてしまうのでした。
Gー1.0/Cも公開!
そして、色を無くした「マイナスカラー」つまりモノクロ版が公開されました。
同一映画でカラーとモノクロが存在するのは珍しいことではないでしょうか。
早速見てきましたよ。
公開前に「ドキュメンタリータッチな仕上がり」と世界のタカシこと山崎監督が言っていた意味がわかりました。
この作品の舞台となった戦後間もない頃はモノクロの世界であり、人々の心もまたモノクロだったことでしょう。
それが色を無くすことでよりリアリティが感じられました。
薄暗い風景のどこから現れるかわからないゴジラへの恐怖感も増したように感じます。
ゴジラが街に迫ってくるシーンはもちろん、海から現れるシーンは不気味さも一層高まります。
そして・・・・また泣きました。カラーよりも泣いたかも。
見たばっかりなのにもう一度見たくなっているのが不思議です。
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好きなシーン
いくつもあるのですが、堀田艦長の「海神作戦を開始する」や「衝撃に備えよ」のところはモノクロで見た方が威力があるというか、重厚感があるというか。
出典:シネマトゥデイ
カラーでも好きだな思った泣きポイントのシーンは、敷島が「差し違えても仕留めます」と覚悟を決めるシーンからゴジラに突撃する際に強い眼差しでゴジラを見据え突撃する一連の流れ。
それと、特攻を決めた敷島に整備士の橘が震電の説明をする際に、脱出法があることを告げ「生きろ」というシーンも。
仲間を見殺しにされて恨んでいるはずなのに生きて帰れるよう配慮するなんて・・・
恐らく仲間の思いを背負って生きろということなのでしょうが、泣けます。
そして改めてこの映画の主役はゴジラに立ち向かう民衆なのだと思いました。
やはり今回も神木くんに惹きつけられました。彼は昭和のスターの生まれ変わりでしょうか?
あるのか?続編
続編を望む声が多数あるらしく、監督も「人々のその後を描いてみたい」と言っていました。
映画の舞台が戦後何もない世界だから”−1.0”のはずですが、復興が進んだらマイナス要素が薄れてしまうのでは?
ゴジラと戦った人々のその後の生活、日常だけを描くというのはどうでしょう。
”いつ現れるのか”、”来るのか来るのか”というドキドキだけを与えてゴジラの存在を匂わせつつ、ゴジラは回想のみ最後まで本体は登場しないのです。
あるいは謎のアザを負った典子がゴジラを呼び寄せてしまうという展開も考えられます。
何はともあれ続編が公開されればきっと見に行く私です。
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