中国人のHさん
日本語ボランティアを始めて、最初に教えることになったHさんという女性がいる。彼女は中国人で、夫もまた中国人。夫は日本の大学で学んだことから、かなり日本語が堪能、そのためHさんは日本へ来てから数年、夫とは中国語で会話し、日本語での会話が必要な時は夫に同行してもらう、という生活だった。ただ、それでは不便だから、自分でも少しだけ勉強したよう。
少し人見知りだけど、明るいHさん
写真がないのが残念だけど、Hさんは私とほぼ同年代。
いつも夫に同行してもらうのも…というのが、日本語教室で勉強しようと思ったきっかけ。
日本語教室にはいろいろな講師がいて、いつも同じ講師が教えると言う決まりはない。(でもなるべく同じ人を教えるようには心がけている)
一度教えてから、なぜかHさんをずっと担当することに。
教科書も購入。
日本語教室で使っている教科書も、自宅で勉強したいから、と自分で買うくらい、熱心に勉強していた時期もあった。
Hさんは少し人見知りで、私ではない講師が教えると、どうもあまり身が入らないようで、私が次回いつ参加するのか、毎回必ず確認していた。
このまま、さよならかもしれないね。
昨年末、HさんからLINE。「良いお年を」と書かれていた。
私はそれを受けて、今年のお正月に、着物を着た写真と共に、「また一緒に勉強しましょう」というLINEを送ったのだが、それに対する返事は、
「わたし、ちゅうごく帰る」
というものだった。
以前、初めて教室に来た際書いてもらった用紙には、「しばらく母国へ帰国する予定はなく、日本で暮らす」とあったのだが…。
母国へ帰るのかな。
Hさんは、かなり日本語を話せるようになったけど、しっかりとした意思疎通はできない。
「中国へ帰ったらまたLINEしてね」と言ったら、「中国LINEできない」。
…あ、そうだった。中国ではLINEのアプリが使用禁止になっていて、かわりにwechatというアプリでないと連絡できないのだった。しかし、「中国帰ったら、この携帯は解約するからもう使えないです」とも。
寂しくないのかな。って思ったけれど、Hさんは、中国に夫以外の家族がいるのを思い出した。
もう、Hさんは日本で生活することじゃなく、中国へ帰って、祖国で生活すること、それを頭の中で思い描いてるのかもしれない。そうだとしたら、日本にもう未練はないのかもしれないなあ。
一期一会
私は、初めて教えた人と、もう連絡したり会ったりできなくなるのかと思ったら寂しいけれど、彼女が決めたことなら、祖国で元気で暮らしてくださいね、と言うしかない。
Hさんはとてもまじめな人だったので、私もそれにこたえようと、すごく色んな教材を用意したり作ったり…そして、時には漢字を使って教えるという裏技も使えたので、すごく、すごーく鍛えられた。今、私がある程度の経験に裏打ちされて日本語を教えることができてるのも、彼女のおかげ。
…と、ちょっとかたいブログになってしまった。
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