「君の手がささやいている」はやさしいドラマ

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最近、Tverで配信されていて、当時は続編を期待しながら毎回見ていたな、懐かしいなと思いながら見てしまったドラマです。

この作品は、連続ドラマではありません。

1997年から2001年まで、単発ドラマとして放送されていたもので全5作からなります。

おそらく当初は単発で終わる予定だったのが、あまりにも好評だったため、2章から5章まで制作されたのだと思います。

1年1作で5部作

特徴的なのは、1年に1作で5年連続で放送されたこと。そのため、時を追っていて成長の度合いが顕著にわかります。

手話を取り扱うドラマの多くは、セリフが文字で表示されたり、話し相手が手話の内容を代弁してくれるパターンが多いです。

しかしこの作品は、ろうあ者が手話で話す部分に字幕は表示されず、相手がそれを口にすることもありません。ろうあ者同士の会話ですら、何も表示されず、見るものの想像力が試されます。

ですが、それまでのストーリーを追っていれば、字幕がなくとも会話の内容がどんなものであるかが大体わかってしまうのです。

こんなストーリー

生まれながらにして耳の不自由な女性(菅野美穂)が就職し、生涯の伴侶となる男性(武田真治)と出会い、結婚・出産を経験し、千鶴と名づけた子供が12歳になるまでを描いています。

子供が産まれてからは、子供中心の部分と夫婦の絆を描くシーンとがうまいバランスで共存しています。

美栄子が考えてることをその表情や仕草だけで分かってしまう博文。いつも穏やかで、耳が聞こえないことで不安だらけの美栄子を包み込む包容力が半端ないのです。

これほどまでにできた人がいるでしょうか。

就職から運命の人との出会いを描く第1章


引用元:テレ朝動画

一般企業に就職した美栄子ですが、耳が聴こえないことで周りから疎外感を感じてしまいます。そんな中、自分に親切にしてくれて好意を抱いてくれる博文と出会い、恋に落ちます。

2人は結婚を決意しますが、博文の母親から耳が聴こえないことで博文に負担が生じると反対され、美栄子は諦めようとします。

「聴こえないことはそんなに特別なことなのか?聴こえないから君を好きになったんじゃない、君といると自分が幸せだから結婚したいと思ったんだ」と言い放つ博文。

その言葉に心を打たれ、美栄子は博文と結婚。

葛藤の中で出産、戸惑いながら子育てに奮闘する第2章

引用元:TELASA

美栄子の妊娠・出産を描いています。

聴こえないことで子供を産んでも些細な変化に気づけず、子育てに影響を及ばせるのではないかと不安になり、出産を拒みます。

でも、博文の支えがあり出産することを決意します。出産シーンで、病院に駆けつけた博文が美栄子の手をぎゅっと握り、「さ、一緒にがんばろうか」と言ったシーンが印象的でした。

時は進み、子供に手話を教えようとしてもなかなか覚えようとしてくれません。

そんなある日、雨が降って洗濯物が濡れている様子を見た千鶴が手話で「雨が降ってる」と教えてくれるのでした。

母親としての無力さを痛感、新天地での生活描く第3章


引用元:テレ朝動画

千鶴が高熱を出し、電話で救急車を呼ぶこともできず慌てふためく美栄子は自分の無力さを痛感。

そんな美栄子に博文は「千鶴の母親は君だけだ」と励まします。

やがて千鶴が小学校に上がる頃、博文に仙台転勤の話が。単身赴任を覚悟していましたが、美栄子は「家族は一緒にいなきゃ」と言います。

仙台での生活が始まると、学校の友達に母親と手話で話すところを目撃されからかわれてしまう千鶴。そのため授業参観も博文に来てほしいと言い出します。

博文に諭され、千鶴は美栄子に来てほしいと言ったため渋々学校に行くと、そこには手話で作文を読む千鶴の姿がありました。美栄子は自分のために精神的成長をしてくれた千鶴に胸を熱くするのでした。

母を守ろうとする娘に強さを示す母が描かれた第4章


引用元:TELASA

日々の中で起こる些細なことで母のことが心配になった千鶴は「私がお母さんを守らなきゃ」と必死で美栄子を守ろうとします。

そんな千鶴に「お母さんは弱くないから大丈夫」と体現して見せる美栄子でした。

安心した千鶴は英語教室に通い始め、初恋相手から「お母さんと一緒に」と音楽の演奏会に誘われますが、母親が聴こえないことを言い出せません。

母娘のすれ違いと聴こえる耳への期待膨らます第5章


引用元:TELASA

小学6年生になった千鶴は、友達の家に遊びに行くことが増え、美栄子に話さないこととも出てきます。

そんな千鶴に不安を覚えてしまう美栄子は、「絶対見ない」と約束していた千鶴の日記に手を伸ばしてしまいます。

結局見ることはできませんでしたが、千鶴に疑われ親子関係がギクシャクしてしまうのでした。

それを知った博文は美栄子に「そろそろ子離れしないとな」と言い、千鶴には「お母さんはその日記を絶対見てないよ」と諭します。

そんな博文や美栄子の両親の協力もあり、和解。

その後、美栄子の誕生会を開くことになったのですが、美恵子は「あなたも聴こえるようになる」との文言に惹かれ、何やら怪しげなセミナーへの申し込みをしてしまうのでした。

しかもそれは誕生会の当日。

出かけたまま帰ってこない美栄子を心配する博文たちでしたが、そのチラシを見つけてしまいます。

居た堪れない思いも抱えながらも彼女を信じて待つ一行の元に寸前で参加を拒否した美栄子が帰ってきます。

聴こえない自分を愛してくれる人たちがいることを考え、参加を思いとどまったのでした。

帰ってきた美栄子を咎めることなく優しく抱きしめる博文。

つくづく愛情の深い人だと思わずにいられません。

美栄子や博文を支える人たち

美栄子の両親はもちろんですが、結婚に反対していた博文の両親もことあるごとに2人の元にやってきます。

博文の会社の同僚や先輩たちも理解を示し、応援してくれるのでした。

中でも聴こえない美栄子のことを一番に考える博文の少しの異変をすぐに察知し、悩みを聞き出してくれる美栄子の父親の勘の良さには感服します。

優しさあふれるドラマから20年

聴こえないことは特別ではないと考える博文と結婚し、母となった美栄子の物語から20年が経ちます。

個人的には、このタイミングで続編があってもいいのではないかと思ってしまうのです。

大人になった千鶴の結婚や老いていく両親との関係性の問題など扱える話題は十分あるので是非ともお願いしたいところです。

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