日々利用するトイレですが、こまめに掃除しないと気になる臭いが・・・
パイプが詰まったりするとその臭いが充満し、キョーレツな悪臭と化することもありますよね。
先日の毎日新聞では、そんなトイレの臭いを研究室続けている「トイレのニオイ博士」が紹介されていました。
目次
「ニオイ博士」はTOTO社員
大手トイレメーカーのTOTOで30年もの長きに渡り、「ニオイ」の研究を続けているのは、素材革新JPの山本政宏さん。
山本さんが一体どんな研究をしてきたのかというと・・・
ニオイを研究する部署で第一人者に
大学で環境化学を専攻していた山本さんは、入社後間もなく水回りの汚れや臭いの分析チームへの配属を希望しました。
自ら希望したというのは驚きませんか?
研究を進める中で特に興味が湧いたのがトイレの悪臭。ことに公衆トイレと臭いは切っても切れない仲であるのに、研究をしている人がいなかったのだとか。
そこで自らが第一人者となって、駅を訪れては「臭いを嗅がせてください」とお願いして機器を用いて空気を採取。時には便器の臭いを直接嗅いだりしていました。
トイレの臭いを嗅ぎたいなんて物好きか変人に思われたのでは・・・
原因物質の数は40万種類
大便や尿はそこに含まれている成分が微生物の働きにより、臭いの元になるアンモニアなどに変化することが原因。
分析することで悪臭の正体をはっきりさせられると思っていたのですが、そんな簡単なことではありませんでした。
なぜなら、トイレの臭いの原因物質の数は約40万種類もあるからです。
物質を分解できても、どれが悪臭の原因かまで突き止めることは困難だったそう。中には単体ではなく複数からできている場合も。
最後はやっぱり「鼻」が頼り
どんな機器を使ったとしても「人間が臭いと感じる臭い」までは判断できません。
それを判断するのは人間でなくてはならないのです。つまり、どんな最新機器よりも頼りになるのは「人間の鼻」ということ。
若い頃は毎日数えきれないほどの悪臭を嗅いで「悪臭トレーニング」をしていたらしいです。
臭いには人一倍敏感で、石鹸やシャンプーはおろか臭いの強い食べ物は避けていると言います。
美味しいものは臭いにそそられることが多いのになあ
周りの協力も得られ研究は円滑に
どんな臭いかを口頭で同僚に伝えランクをつけ、分析する作業を行なっていたのですが、これが結構大変だったみたいです。
それを分析機器の製造業者に話すと、臭いの概要を話しながらボタンを押すだけで、内容が文字化し、グラフまで作成してくれる機器を作ってくれたそうです。
おかげで研究がスムーズに進むようになりました。
新商品開発に一役買う
趣味で悪臭を嗅いでいるわけではないので、関連商品の開発に繋がらなければ意味がありません。
山本さんと仲間の研究の結果、除菌成分を含む「きれい除菌水」を生み出し、便器の洗浄に役立てています。
現在ではほとんどのウォシュレットに搭載されているほか、浴室やキッチンなどの水回りでも大活躍。
さらなるステージへ希望
最近、野生の動物が木の枝を折る、歯を食べるなど植物に何かの変化を加えることで危険を知らせるとの研究がなされているとのこと。
ならば、将来的にはトイレに発生する微生物には化学物質などで「臭いを出さないで」という信号が送れたらいいのになと考えているそうです。
まとめ
トイレって本来なら臭くて当たり前なのに、「臭くない」トイレが常識となっています。
その背景には山本さんのような研究者が日々悪臭の研究を行い、それを元に商品を開発してくれているおかげなのですよね。
日本のトイレは世界一だとよく言われますが、こう言った方々の努力があってこそなんだなと感じました。
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